製品が売れるかわからないうちに

製品が売れるかわからないうちに、数十万円という金額をだして特許出願するのはもったいない。製品が売れてから特許を取得したい」という要望を中小企業から聞くことがあります。
企業経営者は、特許権があると自社製品を独占的に製造販売できることを知っているからこそ、「製品が売れたら特許を取得したい」と考えるのでしょう。特に、自社製品が売れ始めたら他社が追随してくることが多いから、それを未然に防ぎたい心情は理解できます。
しかし、その考えは改めなければなりません。なぜなのか。それを説明するのに良い例があります。

皆さんは、医療保険に加入していますか?

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病気になって入院するリスクを考慮して、医療保険に加入されている方は多い筈です。この場合当たり前なのですが、病気にならなければ医療保険に支払ったお金は戻ってきません。しかし、医療保険に未加入であれば、入院してから医療保険に加入しようとしても、その入院費を医療保険で支払うことはできないのは当然のことです。

実は、特許出願もこの医療保険の考え方に近いものとして捉えることができます。

つまり、製品が売れる保障などない開発の段階で特許を出願しないと、原則として特許は取得できないのです。

製品が売れるかわからない開発段階は、病気になるか分からない段階と似ています。自社製品が売れた場合の特許の有効性と、入院した場合の医療保険の有効性も似ています。そして自社製品が売れなかった際に特許が休眠状態になる点と、入院しなかった際に医療保険の掛け金が無駄になる点とも似ています。

でも特許出願して特許を取得することは、医療保険とは違うメリットが数点あります。

http://fqaweriuos.asks.jp/654.html
http://fqaweriuos.asks.jp/298.html

一点目は、開発段階で特許出願しないと、原則特許は取得できないと記載しましたが、自社製品の販売をインターネットに掲載したり、又は販売を開始したりした最初の日から6ヶ月以内であれば、特許出願しても特許を取得できる規定がある点。

つまり、販売を開始して4~5ヶ月ぐらいで、製品の売れ行きが良ければ特許出願するという判断が可能なのです。この規定は2012年4月に改正されたため、現在はこの規定の適用を受けて特許出願することができます。但し、この規定は日本特有の規定なので、製品のグローバル展開(中国や欧州にも特許出願する)をお考えであれば、開発段階で特許出願しないといけません。